古瀬哲也高校教頭ご挨拶
6年ぶりに日本の学校に帰ってきた。東海大浦安は、これまで勤務してきた福岡の第五高校やデンマーク校、ハワイ東海とは大きく違っていた。正門から目に入る校舎群は整然と並んでいて落ち着きがあっていい。噴水も素敵だ。ひときわ目立つ松前総合記念体育館は堂々とした建物で、文武両道の学校の象徴に見えた。グランドも広々としていて、地方校出身の私にはまぶしいくらい立派なキャンパスの学校だ。ハワイから毎年一度は出張して訪れてはいたが、自分の勤務先になると見え方は全く違っていた。
5年間ハワイ東海インターナショナルカレッジで主にアメリカ人と仕事をしてきたため、日本の学校に戻るにあたっては不安があった。大部屋に、大人数の教員が机を並べる職員室で集中して仕事ができるだろうか、毎日の電車通勤は疲れないだろうか、先生方とうまくやっていけるだろうか、などである。年度が変わって、車で10分の通勤、同僚や部下が外国人という環境から一変して長距離電車通勤、長時間勤務、英語を使うのはネイティブスピーカー4人と話す時のみとなり、典型的な、首都圏に暮らす日本人のワークスタイルに変わった。
4月、先生方の顔と名前を覚える前に入学式の司会をさせていただいたが、正直これは辛かった。後援会の方々や卒業生の親の会の方々も多数列席されると聞き緊張していた。この頃東浦会(とうほかい)と言われても、何のことかわからず戸惑っていたが、今は会長と何度もお会いする機会に恵まれている。もう大丈夫だ。東浦会は、東海大浦安が付属高校の中でもいかに特別な存在であるかということを感じさせてくれる伝統のある会だ。親子でこの会の会員であり役員であるという方もいらっしゃることを知り、その方々とお話をしたり旅行にご一緒したりして、多くの方がこの学校を、生徒を愛していらっしゃることを知った。すばらしいと思うと同時に本校の生徒は大変恵まれていると感じている。
久しぶりの日本に、そして東海大浦安に慣れるのに必死で1年を過ごしてきたが、伝統あるこの学校をもっと発展させたいという意欲に溢れた先生方と出会い、日々前向きに過ごせたのは嬉しいことである。後援会や東浦会の役員の方々とお会いする機会も多かったが、学校とは違った様々な世界でご活躍されている方々とお話をするのは楽しい時間である。
2010年度、校長をはじめ教員が多数入れ替わり、保護者ほか、多くの関係各位に不安を与えたかもしれない。2011年度は、その不安を安心と信頼に変える年にしなければならないと肝に銘じている。